先月6月19日(日)東京都の池袋にある東京芸術劇場コンサートホールにて、第149回定期演奏会が開催されました。
注目すべきはその曲目。プログラムにはオスバルド・ゴリホフ/弦楽アンサンブルのための「ラスト・ラウンド」、同/チェロ協奏曲「アズール」、コープランド/交響曲第3番。ゴリホフは初めて聞いた名前でしたが、1960年にアルゼンチンで生まれた現役作曲家で、本公演の指揮者ステファン・アズベリーさんとも交友関係があり、二人ともアメリカのボストンを拠点に活動しているのだそうです。
「ラスト・ラウンド」はタンゴのリズムを軸に、激しくも美しい不協和音で紡がれます。2群に分かれたオーケストラは、互いにバトルを繰り広げるような熱い展開となり、奏者も大きく体を動かしてノリノリで演奏していたのが印象的でした。
「アズール」では指揮者の両脇にチェロ(横坂源)とアコーディオン(大田智美)、正面に2人の打楽器奏者(松倉利之、神田佳子)が、そしてホール客席内1階の最後方席には音響(有馬純寿)が配置されました。驚くのはその打楽器の多さです。舞台上にはシンバルやティンパニだけでなく、ジャンベや木の実をつなげた鈴、膨らませた白い袋、ウォーターフォンなど、すべて合わせるとその数なんと50種類!!どこから音が聴こえてくるのか、まるで音の森の中にいるようでした。すらっとした長身の横坂源さんが奏でるチェロは、うす暗い夜明け前の鳥の鳴き声のようで、曲が終わった時には心が揺さぶられてしまいました。
指揮者のアズベリーさんは、交響曲第3番について「本質はシンプルなもの。楽員にはシンプルに弾いてほしいと伝えました。リハーサル初日から本番にかけてイメージするサウンドに近づけられたのが楽しかった。」と語っていました。
挑戦的かつ新奇性のあるプログラムの定期演奏会。10月にはトーマス・アデス×角野隼斗さん、来年3月にはヴィトマン×神尾真由子さんでどちらも本邦初演のラインナップが控えていますのでお楽しみに!