悲劇的な苦しい戦いが4年に及んだ第1次世界大戦が1918年11月11日に終結した。第1次世界大戦休戦記念日の翌日である第153回定期演奏会、大戦で犠牲となった人々の追悼と恒久の平和の願いを込め、戦時中作曲家たちが残した作品をオムニバス的にプログラミングした。
指揮者を務めるのは、来年82歳を迎える日本の名匠《秋山和慶》。年齢に逆行するかのように活動の幅を広げ、どんな作品でも難なく演奏ができてしまう秋山氏。
全く違うカラーの作品が並ぶ今回のプログラム。各作品の音楽の表現を振り分けられる指揮者にふさわしい人物は秋山氏しかいない、という期待を込めてキャスティングした。
《ラヴェル:組曲「クープランの墓」》
1914~1917年にかけて作曲されたピアノ組曲。各曲第1次世界大戦で戦死したラヴェルの6人の友人に捧げられた。この作品でラヴェルは、ルイ14世時代のフランスを回顧してフランス文化の伝統の不滅を表現した。
《エルガー:チェロ協奏曲》
1919年、第1次世界大戦が終わった直後の作品。当時62歳のエルガーは、同年に妻を亡くし創作意欲が減退。また自らの健康状態の悪化もあり、戦争で受けた悲劇的でメランコリックな印象が反映されたこの曲が、エルガーにとって完成された大作となった。スイスで研鑽を積み、新倉氏はこのエルガーのチェロ協奏曲に幾度なく人生を救われたと語っており、2015年には同曲のCD収録も行っている。
《ニールセン:交響曲第4番「不滅」》
第1次世界大戦前半期にあたる作品。中立を宣言したデンマークも決して安泰な年月を過ごすことはできなかった戦争下の不安の中で作曲された。暗黒の日々の中にあった人間への不滅への確信を高く揚げた。
公演情報
■公演日
2022年11月12日(土)14:00開演(13:00開場)
■会場
東京芸術劇場 コンサートホール 大ホール
■出演者
指揮:秋山和慶 チェロ:新倉 瞳 管弦楽:パシフィックフィルハーモニア東京
■演目
ラヴェル:組曲「クープランの墓」
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
ニールセン:交響曲第4番 作品29「不滅」